あの国のフィードバックの仕方は?

フィードバックが適切にできるかどうかは人やチームのヤル気に影響します。最近はホメられて伸びる人が多い
傾向があるとどこかで読んだ記憶があります。

しかし言いにくいことを相手に伝えなければならない場面よくありますよね。

相手の仕事のできばえ、
相手の能力、
相手と異なる意見、
相手と異なる立場の説明、
相手の期待に沿えないこと。。。

率直に言ってしまっては相手を傷つける、正直に言ってしまうと相手との関係にヒビがはいる、思いのままに言ってしまうと「あなた何様?」と逆に責められてしまう。。。

日本は一般的に周囲との関係を重視する文化です。平和的に、あらそいを避け、何とか穏便に済ませたい

だから、言いたいことをグッとこらえ、言いにくいことを言うときは特に神経を使います。

海外でも、国によっては日本人と同じように相手との対立を避け、波風を立てないよう気を付ける文化もあります。

その一方、相手にとっていくら耳に痛いことであろうと、直接思っていることをそのまま言う文化もあります。

そして日本人のように、やんわりと、はっきり言わない人達を「不誠実」「裏表のある人間」だとみる文化もあるのです。

エリン・メイヤー著、『異文化理解力』(英知出版)では、相手に言いにくいことをどう伝えるかについての国による違いを考察しています。

(出典/『異文化理解力』2015年/エリン・メイヤー著/英知出版)

上のように、日本は「間接的なネガティブ・フィードバックを行う国です。

それに対し、イスラエルやオランダは直接的な表現で率直にフィードバックをする文化です。あなたにとって耳の痛いフィードバックがある場合、あなたのことをケチョンケチョンにけなしているようにしか聞こえないでしょう。しかしイスラエル、オランダの方々にとっては、それが誠実かつ率直なフィードバックなのです。

日本は世界で最も間接的なネガティブ・フィードバックをする国ということは、他の国の方々から「建設的な批判」を受ける場合、全てが直接的に聞こえてしまうことになります。場合によってはあなたの全人格が否定されているとすら感じるほど、手厳しいものに感じるでしょう。

外国での仕事や、外国人との仕事では「傷つけられた」と感じる場面が多かったり、外国人がただただ無礼で傲慢に見えたり、無神経だと嫌悪感を抱いてしまうことも多いかもれませんね。その最たる理由がフィードバックの仕方にあるのかなと考えています。

では、そういった「直接的なフィードバックをヨシとする国」の人々に対して、あなたも彼等のやるように直接的なフィードバックをすればよいのでしょうか。

相手と長い時間を共有し、多くのことについての共通理解がある相手となら大丈夫かもしれません。しかし、やはり相手がケチョンケチョンに言うのだから、こちらも相手にケチョンケチョンに言い返すというのは控える方が賢明だと思います。

日本人は目上の人には丁寧ですが、「ブラック××」という言葉があるほど目下の人には強くあたる傾向があるのではないでしょうか。直接的なフィードバックを普段やりなれず、つい否定的な感情、怒り、失望感も一緒に表に出てしまい、相手の人格を否定するような態度、言い方になる危険性が高いと思います。

なお、上の図でぜひとも注目してほしいのがアメリカの位置です。アメリカは典型的なローコンテクスト文化で、普段の会話では直接的な言い方をする彼等は意外にも相手に言いにくいことを伝える場合は間接的な表現を使うことが多いです。

※ローコンテクスト文化についてはこちらを参照してください。

例えば、私の日本人の部下の仕事があまり芳しくない場合、相手のアメリカ人はその彼について決してネガティブな表現を使いません。「I want to encourage him to ….(私は彼に~するよう励ましてあげたい)」「He would be perfect if he could….(彼は~するともっと完璧なんだけどねえ)」など、柔らかい表現をよく使います。