「万有引力の法則」と海外駐在員の関係

物理。
高校時代、
4時起きの朝練から野球に没頭していた私は
「物理」の授業を
「昼寝」と読みかえていましたが
最近物理学のおもしろい本を発見しました。
大阪大学の素粒子論研究室で教授をされている
橋本幸士さんの著作で
という
超物理オンチの私でもおもしろく読めそうな
タイトルにひかれて読んでみました。
この中で
遠距離恋愛中の女子高生が出てくるのですが
彼氏となかなか会えず
彼氏からのLineの返事が日に日に遅くなり
やきもきする彼女は
「次に彼に会えるのは一体いつなんだろう?」
と思い悩んでいます。
そこで本の中の「パパ」が登場するのですが
「万有引力の法則」
をもちだして女子高生に言い放ちます。
『あらゆるものの間には引力が働いている。
 彼女と彼氏の間にももちろん引力が働いている』
『しかし引力は距離の2乗に反比例し
 離れれば離れるほど小さくなってしまう』
『だから遠距離恋愛で
 相手との関係が疎遠になるのも当たりまえだ』
なんとも遠距離恋愛中の女子高生には
残酷な言葉ではあります。
しかしこの著作を読んで
海外で駐在員として仕事していたときの私と
それを遠くから監督していた日本の関係者との関係も
遠距離恋愛中の女子高生と彼氏の立場と同じだと思いました。
海外では仕事の仕方や仕事観が
日本のそれとちがうこと、
思うにまかせぬ現地事情があることを
日本の関係者の方に分かって頂くのは
骨の折れる作業でした。
日本と海外では距離が離れているから
「万有引力の法則」
がきっちり働いているのでしょう。
でも海外駐在員は
「万有引力の法則」にさからって
日本と現地をうまくひきつけ合うようにする
役割があるのかなと思います。
ちょっと油断すると
日本と現地の関係者の間で
お互いの仕事のやり方をめぐり
文句の言い合いになってしまいます。
やれ
仕事がおそいだの、
いちいち細かすぎるだの、
計画どおりに仕事が進まないだの、
プレゼン資料が会議前に揃わないだの、
柔軟に対応できないだの、
意思決定が遅すぎるだの。
「万有引力の法則」とおなじで
どんな仕事の仕方ならヨシとされるのか
何がその土地での常識なのか
その考え方の違いというのは普段目に見えません
それを目に見える形にして
お互いの理解と信頼を高め合っていけるような
関係を作るのも駐在員の仕事なのでしょう。