海外の方と仕事をするとき、「相手がどんな仕事の仕方が適切だと考えているか」「相手がどんなコミュニケーションを周囲に期待するか」
そんな情報を提供してくれるのが『文化モデル』と呼ばれるもので、これまでいろんな『文化モデル』が発表されています。
Hallモデル
Hofstedeモデル
Erin Meyerモデル
Trompenaars& Hampden-Turnerモデル
などがあり、画像は『Lewisモデル(Dimensions of Behaviour)』と呼ばれるものです。
・どうしたら相手と関係を築きやすくなるか
・どうしたら相手に認めてもらいやすくなるか
・相手との仕事で障害になりそうな点はどこか
そんな情報を『文化モデル』は提供してくれるわけですが、その活用にあたっていくつか気を付けなければならないことがあります。
目次
『文化モデル』は一般情報、一般的傾向しか示さない
ある国における仕事の仕方やコミュニケーションのスタイルを『文化モデル』で知ることはできますが、それはあくまでその国での一般的傾向に過ぎないということです。
たとえば日本人について、一般的には「シャイ」で「空気を読んだコミュニケーションを取る」と解説している『文化モデル』がほとんどですが
あなたもご存知のとおり、「私は口から産まれてきたんです」といわんばかりに空気も無視してガンガン自己主張する人もたくさんいるわけです。
ステレオタイプを持たないこと
『文化モデル』の情報から「〇〇人は△△だ」というステレオタイプで相手と接するのは危険です。
例えばアメリカや欧米の方について「思っていることをストレートに表現することが期待される」と解説されていることが多いですが
相手への不満や欠点をストレートにまくしたてて相手の怒りや失笑を買っている日本の方を掃いて捨てるほど見てきました。
相手の心情やその場の空気を読んでコミュニケーションするのは日本人だけではありません。
また同じ国でも職場環境や世代などによって『文化モデル』が示す傾向が当てはまらないケースもたくさんあります。
どう適応するべきかについて『文化モデル』は答えを教えてくれない
『文化モデル』は相手の仕事の仕方の特徴や、あなたと相手との間で何がどう違うのかといった情報を与えてくれますが
「あなた自身がそれにどう対応すべきか」
は教えてくれません。
さらにいえば同じ相手、同じ環境であっても、そこでの適応の仕方は人によって異なります。
例えば自己主張や自己アピールを高く評価するような相手だとわかっていても
あなたが経験豊富で、組織の「上」にいる人間としていろんな権限を持っている場合と
あなたがまだ入社して間もない新人である場合とでは
自己主張や自己アピールすることに対する抵抗感や、周囲の反応も違います。
また相手との力関係やお互いの語学力などによっても、どのように相手に自己主張や自己アピールするかが異なってきます。
このように『文化モデル』はグローバルに働く上で、相手について有益な情報を与えてくれるものの
・自分の置かれた立場・役割
・与えられている権限の範囲
・相手との関係性・力関係
・お互いの語学力
・お互いの性格、などなど
あなたの対応に影響を与える要素は何かを意識することも大事です。
他の人の対応の仕方が参考になることもありますが、僕はこれまであまり参考にならなかったことの方が多かったです。
なぜなら他の人とは置かれた立場も違えば、僕がやりたくても組織のルール上できないこともあるからです。
置かれた状況でどう対応するか、最終的にはあなたが自分で判断し行動していくしかないのです。

図の『Lewisモデル』をざくっと解説しておきますと
・マルチ・アクティブ(赤)
・リニア・アクティブ(青)
・リアクティブ(黄)
という3つを頂点にとり、それぞれの頂点に近づけば近づくほどそれぞれの特徴が表れやすくなるというものです。
それぞれの特徴について、代表的な解説を加えると以下のようになります。
●マルチ・アクティブ(赤)
・感情豊かなおしゃべり好き
・同時に多くのことを進めたり、計画性よりも柔軟性に重きを置く
・家族や人間関係、親近感、距離感を重視。
●リニア・アクティブ(青)
・ストレートで論理的なコミュニケーションを好む
・タスク志向が強く組織的に計画を立て、それに沿って一つ一つ物事に対処
・相手の実績・経歴・スキル・パフォーマンス重視。
●リアクティブ(黄)
・良い聞き手で、間接的コミュニケーションを多用
・協調性、円滑な人間関係を重視
・人間関係やコネを重視
※出典/Richard D. Lewis『When Cultures Collide: Leading Across Cultures』
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