同じ会社の中なのに、違う部署との仕事になると情報が滞ったり、なんとなくお互いが敬遠しあっているような雰囲気になること、ありませんか。
「ウチ」のメンバーだけなら物事をトントン拍子で進められるのに、そこに新しい人が入ったり、「ソト」のチームと一緒になった途端に歯車が狂ってしまうのです。
僕の場合、「日本チーム」と「ある国のチーム」で合同チームを作ったり、各国から数名のメンバーが集って「ひとつのチーム」でプロジェクトを動かすのが日常です。
しかしながら、どれだけその目標が素晴らしく、それを達成するための計画や十分なお金があり、必要なスキルや経験を持つメンバーが揃っていても
「ウチ」と「ソト」のメンバーの間で連携がグチャグチャになり、「ソト」のチームに対しての不満や嫌悪感が渦巻いてしまいます。

たとえば「日本チーム」はパートナーである「ソト」のメンバーに対し、事あるごとにフラストレーションを抱いています。いわく
あの人たちは時間も約束も守らない
あの人たちは情報をちゃんとよこさない
「ウチらはちゃんとやってるのに!」
一方で外国チームも「よそ者」の日本チームを見下したりします。いわく
あの人たちはいつも判断が遅い
あの人たちは会議では何も言わないのに後になって文句を言う
「ウチらはちゃんとやっているのに!」
そんな風に「ソト」のメンバーにうんざりした目を向けながら
「僕たちって最高だよね」
「あの人たち、なんかちょっと違うよね」
「結局、信用できるのはウチらだけだね」
というように仲間の結束だけがより強くなり、ヨソ者に対して強固なカベを作ってしまいます。
つながりの強い、同系色のチームほど、よその人や「ソト」のチームに対し無意識のうちに警戒心や不信感を持ってしまうのです。
不思議なことに、個々で見れば誰もが優秀なのです。
それなのに、人間って同じグループにいる人たち、自分に似た考えの人たちを「ウチ」と認識し
それと異なるのは「ソト」であると、そんな分別作業を無自覚に行ってしまうことが問題なのです。
でも「ウチ」「ソト」のカベを築くのは、不安や不快のもとになる対象を遠ざけようとする
【人間の本能】
です。メンバー個々の資質や経験の問題ではありません 。
人間は自分に近い人を好きになる生き物。
人が集まれば自分に近い人同士が引き寄せられ、それ以外の人は「ソト」と考えるのは自然なことです。
だから
「ウチ・ソト」の意識なんて持っちゃいけないヨとお説教したり
「違いを受け入れましょう」
なんてこと、仕事の現場では100回言ったって効果がないから僕は言いません。

もちろん大事なのはその先です。いかに早く「ウチ」「ソト」のメンタルを解消し、一つのチームとして仕事に取り組んでもらうか。
僕がまず試みるのは、それぞれの「ウチ」「ソト」のチームの中で、一番影響力を持つ人同士の心理的な距離感を縮めることです。
これはそれぞれのチームで一番エライ人、肩書がある人とは限りません。
チームの中で声が大きいとか、メンバーから頼りにされている人、チーム内の情報が集まるような人。
その上で大事なのは
・その人たちが「ウチ」を守るための存在なのか
・「ソト」との橋渡しができそうな存在なのか
を見極めることです。
前者なら、その人自身のストレスや懸念に耳を傾けることから始める。
後者なら、その人たちでペアになって一緒に作業をしてもらう。
「ウチ」「ソト」の対立が激しい時ほど、これをわざとらしくやるのではなく、お茶しているときにもちかけるなど「シレっ」とそうなるような状況を作り
「ウチ・ソト」でやっていくためのルーティンやルールをチーム内で立ち上げるのです。
「ウチ」と「ソト」のカベを壊そうとする僕の意図がバレてしまうと、メンドくさいなと思われるのが関の山で
かえって「ウチ」を守ろうと意固地になって逆効果になることがあります。
僕は思っていることがすぐ顔に出ますし、お芝居も下手くそです。
だからここはダイコン役者にならないよう、セリフに気を付けながら踏ん張らなければならないところです。

「ウチ」「ソト」のカベが強固で、どれだけ「ウチ」「ソト」でいがみ合っていても仕事は進められます。成果だって出せます。
でも「ウチ」「ソト」が壊れるのってスゴイことです。
これまで「ソト」だった人が「ウチの一員」となって仕事できるようになったとき
「しょうがないからソトの人たちと一緒にやっている状態」
に変化が生じ、個人とチーム力の成長を見ることができます。
これはあくまで仕事での話で、「みんなで仲良くする」とか「友達を作る」という次元とちょっと違います。
むろん、それができたからって履歴書に書けるわけでもないしボーナスが出ることもない。
「ソト」の連中にストレスを溜めながらも、ちゃっちゃと目の前の仕事が片づけられればそれでいいというのもわかります。
プロジェクトが終わったときに
「あー、やっとメンドくさいもんが終わってせいせいした!」
なんて言われたことがありますが、こんなつまらないことはない。
「ウチ」だけでやっていたのとレベルの違う達成感。
「ソト」だったパートナーに「一緒に仕事できてよかった」と言われたときのうれしさ。
そんな喜びを一人でも多くのメンバーと味わえたらと僕は思っています。
下の画像は先日、大家さんの娘さんの誕生パーティーでバーベキューにお誘いいただいたときのものです。
お肉を焼く間、僕は「はよ焼けんかな」とそばでヨダレをたらして見ているだけでしたが、写真撮ろうゼというので
僕はこそっとトングを奪い取り、なんだか僕ががんばって焼いているように「シレっ」と見せかけたのでした。

