異文化適応の「理想」と「現実」

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グローバル環境では「異文化適応」が重要だと言われます。ただその「理想」に対し、その過程で直面する「現実」を僕は常に感じてきました。

同じグローバル環境にいても、人が置かれている状況はそれぞれ違います。

たとえば

・相手との利害関係(発注側か受注側か、など)

・与えられている権限や組織内での地位

・本社から何を期待されているか、何を評価されるか


異文化という環境にあっても、こうした要素は

【異文化以前の問題】

として存在しています。

そしてその異文化以前の問題が、それぞれの「適応の仕方」に影響します。

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以前、ある異文化適応の研修に参加したことがあります。

講師は世界的企業で北米事業を率いた経験のある方で、その方はこうおっしゃっていました:

・北米では自分の考えをストレートに伝えなければ評価されない。

・意思決定が遅いと能力がないと思われてしまう。

・だから、はっきり意見を述べ、素早く決断することが重要だ。


どれももっともな話ですし、実際に多くの場面で当てはまるのだと思います。

 


ただ、当時の僕は若手のペーペーで、現場監督を任されているとはいえ意思決定の権限がほとんどありませんでした。

例外的な案件が起きれば本社の判断を待たなければならない。

その間、現地のメンバーからは「まだ決まらないのか」とせっつかれる。

現地のスピード感に合わせたい気持ちはあっても、自分の権限だけではどうにもできない場面がほとんどでした。

 


現地でほとんど名前の知られていない組織にいたときは、周りに対し「下」に出て仕事を進めざるをえないことが多かったです。

そんな立場なのに

「相手にもっとストレートに言うべきだ」

と言われても周囲との関係を壊してしまうのが怖くて、すぐに実践できるほど単純な状況ではありませんでした。

 


柔軟なスケジュール管理が望まれる環境では、時間にうるさく小言をいうと周囲に疎まれます。

でも時間管理を現地で徹底しなければ、僕は本社で「マネジメントできない使えないヤツ」という評価になってしまいます。


このように、現地に適応しなければいけないのは100どころか500も承知していても

【異文化以前の問題】

はその「適応」を躊躇させてしまうのです。

 


もちろん考え方や価値観の異なる環境で働く以上、相手の仕事の進め方やコミュニケーションの作法を理解することは欠かせません。

信頼関係を築くために「適応」が必要なのは間違いないと思います。

 


ただ、その「適応」はしばしば

【郷に入っては郷に従え】

という理想の形で語られることが多いように感じます。


ところが「現実」として

・組織の中での役割
・与えられている権限

・相手との関係性
・会社のマーケットでの立ち位置

・自分の性格(内向的・外向的など)
・相手のこれまでの経験(日本人と働いた経験の有無など)

といった

【異文化以前の問題】

つまり現実的な制約の中で僕たちは仕事しています。

同じ環境にいても背負っている条件が違えば、そこで取れる行動や適応の仕方も自然と変わってくるはずです。

 


だから僕は異文化適応とは「自分を消して相手に合わせること」ではなく

互いの立場や制約を踏まえながら

「仕事の進め方や期待をすり合わせていくプロセス」

だと思っています。

同じグローバル環境で働いていても「適応」の形は人それぞれなのです。