時間感覚の違い:モノクロニック文化とポリクロニック文化

日本人が仕事をマネジメントしていく上で最も重視することのひとつが

「時間」

ではないでしょうか。

・始業時間
・アポの時間
・製品の納期
・振込期日
・レポートの締め切り、など

それらを死守するためにあなたも日々、時計とカレンダーに目をやる機会が多いと思います。

 

ところが海外に目を向けますと必ずしも時間管理を優先させていないところもあります。

日本人のそれと違ってかなり

「時間に悠長な人」

も多くいるのが実態です。

 

時間感覚の異なる外国人を同僚や部下、取引先に持つ場合、

仕事を共に進めて行く上では時間管理についての対策が必要になります。

そこでこの投稿では
海外における時間感覚の違いとして

「モノクロニック」
「ポリクロニック」

という時間感覚に関する文化指標について考察します。

「モノクロニック文化」「ポリクロニック文化」とは?

「時間」というものをどのように捉えているか国際社会では地域によって異なります。

大きく分けて

「厳密に時間管理を行う文化」
「時間管理で柔軟さを重視する文化」

があり、

前者を「モノクロニック(Monochronic)文化」
後者を「ポリクロニック(Polychronic)文化」

と言います。

次の章から

▶︎ モノクロニック文化:厳密に時間管理を行う文化

▶︎ ポリクロニック文化:時間に融通をきかせ、柔軟さを重視する文化

それぞれの特徴を見ていきましょう。

「モノクロニック文化」「ポリクロニック文化」のそれぞれの特徴

モノクロニック文化(厳密に時間管理を行う文化)の特徴

異文化コミュニケーション 異文化マネジメント グローバル マネジメント 時間 ポリクロニック モノクロニック

「厳密に時間管理を行う文化」「モノクロニック文化」の特徴として以下のものが挙げられます。

  • 時間を「貴重な資源」と考える
  • 順序立てて物事に取り組む
  • 一度に一つのことに集中して取り組む

時間を「貴重な資源」と考える

時は金なり
「去っていった時間は取り戻せない」

という言葉があるとおり、時間は有限で無駄遣いを忌み嫌います

それは自分の時間を無駄にしないだけでなく、他の人の時間も無駄遣いするべきではないという考えにつながります。

 

そのため始業時間やアポに遅刻する者に対し厳しい態度で接するのが特徴です。

モノクロニック文化の度合いが強い国では遅刻したり、締め切りや納期を逃すことのないような行動をとるのです。

 

そうした文化では約束の時間を守らないとか、期限・締め切りを失念するような態度は

「相手に対する敬意を欠く傲慢な者」
「プロフェッショナルではない」
「社会性に欠ける」

といった認識をされてしまいます。

順序立てて物事に取り組む

モノクロニック文化では仕事に取り組む際

Aをして次にB

Bの次にC・・・という具合に

段取りを考え、これに時間を加えていきます。

いつAを開始し、いつまでにAを完了させるか

Bはいつから開始するか、Bはいつ終わらせるか・・・といった

予定や計画、スケジュールを綿密に立て、それに沿った行動をする慣習があります。

 

下は皆さんもお馴染みの会議の流れを示したものですが、「モノクロニック文化」における会議はまさに段取りとスケジュール・予定を表しています。

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9:00 会長あいさつ
9:15 社長プレゼン
9:30 休憩
9:45 新商品デモンストレーション
12:00  閉会
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このように物事の順序と時間をセットで管理していくことが特徴です。

そして実際にそのように物事が進むようにマネジメントが行われます。

一度にひとつのことに集中して取り組む

「モノクロニック文化」では物事を順序立てて取り組んでいきますので、基本的に一度に取り組むことはひとつです。

Aに集中して取り組み、それが終わればBに集中して取り組む・・・

それを積み重ねていくのがモノクロニック文化の特徴です。

 

例えば上の会議の例では、プレゼンの時間はプレゼンだけでディスカッションは含みません。

もっと身近な例を挙げるなら、会議中に電話がかかってきてもその場で電話をとることがありません。

「一度に取り組むのはひとつ」

なので、会議が終わってから電話をかけなおすという行動になるわけです。

ポリクロニック文化(時間に融通をきかせ、柔軟さを重視する)文化の特徴

時間に融通をきかせ、柔軟さを重視する文化」「ポリクロニック文化」の特徴として以下のものが挙げられます。

  • 時間は目の前に「たくさんあるもの」と考える
  • 時間以外の要素を優先する
  • 計画や段取りを考えるが、あくまで「目安」
  • 一度に複数のことに取り組む

時間は目の前に「たくさんあるもの」と考える

どちらかというと目の前に「時間」という大きな海が広がっているイメージです。

多少「時間」を消費しても減ったりなくなったりすることがないという感覚です。

だからアポなどの時間に多少遅れても問題ないという風潮があり、遅れてきた人を責めることもなく寛大な態度を取ります。

時間以外の要素を優先する

例えば勤務の合間の休憩に多くの時間を費やしたり、

会議の合間のコーヒータイムがやたらと長かったり、

会議は再開しているのに参加者が休憩から戻ってこないことも多々あります。

休憩時間やコーヒータイムで身近な人や仕事の重要なパートナー、友人などとおしゃべりに夢中になっていることがとても多いのです。

このケースでは時間厳守というよりも、そこで出会った身近な人やパートナーなどとの人間関係をさらに深めることのほうが優先されているということなのです。

このように時間厳守に優先順位が置かれず、それ以外の事がらを重視するケースが多く見られます。

計画や段取りを考えるが、あくまで「目安」

ポリクロニック文化の人達も事前に計画を立てて取組みますが、

計画に固執するよりも現実や現状に照らして柔軟に対応することを重視します。

 

モノクロニック文化では、例えば「D」という結果を出すために

「A → B → C」

という具合に仕事の段取りを計画しその通りに進めようとします。

一方、

ポリクロニック文化では、その時の状況変化によって以下のようなことが普通にあり得ます。

「A → C → B → D」

「B → Aの半分 → C → Aの残りの半分 → D」

状況というのは計画時とは異なることが多いものなので、とにかく計画通りに進めようという考えは保留され、その都度柔軟な対応をしていけばいいという考えが優先されるのです。

一度に複数のことに取り組む

ポリクロニック文化では時間に対する柔軟さや時間以外の要素を重視するゆえに、複数のことが一度に重なってしまうことも
あります。

例えば重要な用件で会議室に出ているのに会議中にかかってきた電話に出たり、

全く関係のない関係者が会議室に入ってきても問題にしません。

私が目撃した例では、片方の耳で固定電話の相手と話をし、もう片方の耳でスマホで話をしているということがありました。

このようにひとつひとつ、段取りをとりながら物事を進めるのではなく、重要な要件が重なった場合は同時並行して進めるのです。

上で触れた「会議の間に大事なパートナーとおしゃべりに興じる」

各国間の時間感覚の違い

それぞれの国や地域で時間をどのようにとらえているか、国際社会では地域によってその傾向が異なります。

下の図は各国がどの位置付けにあるかを示したものです。

異文化コミュニケーション 異文化マネジメント グローバル 時間感覚 

(出典/エリン・メイヤー著『異文化理解力』(2015年、英知出版)より抜粋)

 

「厳密に時間管理を行う文化」すなわち「モノクロニック文化」は

北米やアングロサクソン諸国、ゲルマン諸国、北欧、日本など

でその性質が強く現れます。

 

逆に「時間に融通をきかせ、柔軟さを重視する文化」、いわゆる「ポリクロニック文化」として

南米や中東、アフリカ、そしてラテン・ヨーロッパ諸国

が入っていることがわかります。

外国人から見た日本人の「奇妙な」時間感覚

日本人は一般的に「モノクロニック文化」に入ります。

仕事や日常生活でも次のようなことをよく言いますね。

  • 時は金なり
  • 時間は二度と戻ってこない
  • お客様をお待たせしてはいけない
  • 遅刻厳禁!
  • アポは時間厳守
  • 締め切りは死んでも守れ!

このようなことを小さい頃から言われて我々の身に染みているわけで、それで時間感覚に厳しくなっていったのだと考えられます。

ただし「時間・時間」とこれだけうるさい日本人について、外国人からはこんな声があるのも事実です。

「意思決定は遅い」

普段あれだけ「時間、時間」というわりに、日本人の意思決定はえらく時間がかかる場合があります。

これには重要な意思決定には多くの人が関わるという習慣が影響しています。

普段時間に「ユルい」ポリクロニックな人達でさえ日本人の意思決定の遅さには文句を言う人は多いです。

 

そしてもうひとつ。

「就業時間が長すぎる」

日本企業はもちろん、会社と呼ばれる組織では始業時間とともに終業時間も決まっています。

しかし定時に帰ることが未だに憚られるような会社も日本ではまだ多いように思います。

そんな日本企業に勤める外国人からすると

なぜあれだけ始業時間にはうるさいのに終業時間についてはそれを厳守しないのか!?

と不思議に思われているものなのです。

 

いかがだったでしょうか。

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